【アリカ】
「では、遠慮はしないことにしましょう――」
アリカお嬢さまが、すこしだけステップのきざみを多くする。
【創】
「…………!」
俺も、あわてて歩調を合わせた。
アリカお嬢さまは、俺を誘うように、会場の中心へとステップを踏んでいく――。
【アリカ】
「……いきますよ」
くるん、とアリカお嬢さまが勢いよく半回転し、俺の腕に背中から倒れこんできた。
【創】
「――――」
ふわっと、やわらかくその腰を抱きとめる。
アリカお嬢さまは、さらに背をそらして腕を伸ばし、周囲にアピールするように手を振った。
歓声と拍手が、あちこちからわきおこる。
この瞬間、間違いなく俺とアリカお嬢さまは、会場で一番の注目を集めるペアになっていた。
【アリカ】
「ふふっ……本当に楽しいですね、創……!」
屈託のない笑みを浮かべて、アリカお嬢さまが身体を起こす。
【アリカ】
「今夜は、創のおかげで最高の夜です」