【義春】
「……っ、恥ずかしい」

義春の口から、消え入りそうな、か細い声が漏れ出る。
無理もない。少々そういった興味が旺盛なだけで、彼女自身はむしろ淑やかで控えめなタチだ。
それが人前で……しかも、こんなにも大胆な恰好を晒していれば無理もないこと。

【義春】
「わたくしったら……こんな、淑女にあるまじきはしたない恰好をして……」

だが、彼女のシミ一つない新雪のような肌が、羞恥の色以上に別の色に染まっているのを見逃さない。

【義春】
「はぁ……うぅ……創さんに、呆れられてしまいます……」

【創】
「呆れるなんて、とんでもありませんよ」

【創】
「むしろ義春さんの秘密を知ることができて、嬉しいくらいです」

【義春】
「嬉しい、ですか?」

【創】
「ええ。ナイショの共有。二人だけの秘め事……」

【創】
「乙女であれば、これほど心ときめくシチュエーションは、他にないと思いますが……義春さんはどうですか?」

義春の耳元を舐るように、甘く囁く。
男が語る乙女と言うのも滑稽だが、だからこそ俺は女というものを冷静に客観視できる。

とかく女は秘密を愛する。
その内容がイケナイことであればあるほど、秘密は女を燃え上がらせる。
それが普段『慎ましくあれ』と厳しく律されているお嬢様であれば、なおのこと覿面に作用する。

【義春】
「……は、はい……恥ずかしくて、どうにかなってしまいそうなのに……」

【義春】「創さんに、わたくしの秘密を知って貰いたいって……そう思うだけで、カラダがきゅんってなってしまうんです……」